突然現れた王子
10.ケイタ


あたしはひたすら、祈り続けた。


今まで生きてきた中で、
大切な人が生死の狭間にいることなんて、初めて。


どうしていいか分からなくて。

最悪の場合まで考えちゃって。


考えれば考えるほど、マイナスな考えしか出てこない。

だめだな、あたしって。


ケイタを信じて待つしかないのに。

そんな単純なことさえもできなくなってる。


でも、

もしケイタが目を覚ましたとき。

ケイタはあたしのこと、覚えてるの?


もしかしたら覚えてないかもしれない。

きょとんとした顔で『誰?』って、

首を傾げるかもしれない。


そうだったらと思うと……怖い。




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