突然現れた王子


あたしはもう、
全てをケイタ抜きで考えられなくなっていた。


ケイタのいない世界なんて、あたしにはいらない。

ケイタがいなかったら、生きていく理由なんてない。


だからって、死のうとも思わないけど。


だって、ケイタのいない世界は、
ケイタが生きたかった世界でしょ?

その世界にいられるあたしが、自ら命を経つなんて……できっこない。


その前に、ケイタが死ぬこと自体、ありえない。


今のあたしは、そう考えることでしか、自分を保てなかった。




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