突然現れた王子
どうしてこんなに胸がドキドキするのか分からない。
ケイタは、ただの同居人。
それ以外の何でもないのに。
「アユ、レジ行こっか」
顔を逸らすあたしに、ケイタは寂しそうに言った。
顔をケイタに向けると、
寂しそうなケイタの顔があった。
そして、スタスタと歩いていくケイタ。
あたしは急いで後を追った。
「ケ、ケイタ!」
「ん?」
あたしの呼びかけに振り返るケイタ。
「ご、ごめんっ」
「え?」