突然現れた王子


「あいてるけど……」

「ほんと?
じゃあ遊び行こうぜ」

「え?
あっ…うん、いいけど」

「約束な。絶対に予定入れんなよ?」


そう言ってケイタは、ドアを開けて部屋から出て行った。


何も予定の入らなかった日曜日。

“入らなかった”というより、
“いれなかった”という方が正しい。


マコト達に誘われたけど、予定があるなんて嘘ついて断った。

心の中で、ケイタが誘ってくれるのを待っていたんだ。


そんな日曜日。

6月2日。


あたしの年に一度の誕生日。




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