金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜
「岡澤先生……それはどういう意味ですか?」
言葉を失う私に代わって、恩田先生が岡澤に尋ねる。
「言葉通りの意味ですよ。なぁ三枝、お前は俺と、生徒と教師以上の関係になりたかったんだよな?
いつも進路指導室で俺と二人きりになろうとして……ときには、自分の身体をさわらせた」
違う……
違う……!!
「岡澤先生!それでは彼女の言い分と全く食い違っているじゃないですか!この期に及んでそんな嘘、見苦しいですよ……!!」
「嘘なら、ついているのは三枝の方かもしれないでしょう。少し美人だからって、男の教師を手玉に取るのが上手いんですよ。
恩田先生、あなたはまだ若そうだし教師としても未熟でしょう。あなたこそ、彼女に騙されているのでは……?」
「……何ですって!?」
「先生!だめっ!!」
岡澤につかみかかろうとした恩田先生を、私は必死で止めた。
こんなやつのために、先生が暴力を振るうなんてだめだ。
もしも殴ってしまったら、岡澤は喜んでそのことを周囲に言いふらすだろう。
私のせいで恩田先生が不利な立場になるなんて……そんなの絶対に嫌だ。