金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜
「……別に俺と付き合えとか言わないから、アイツと深く関わるのだけはやめてくれないか……?そしたら、あの写真は消す」
どうしよう……
どうしよう……
先生は、私がいなくても平気…なの、かな。
平気……だよね?
……あんな風に簡単に、小夜子さんを選んだんだから…
そうだよ、私なんか……
いなくていいんだ……
「土居くん……私からも……お願い」
「何……?」
「…特に深い意味はないの。ただ、誰かの胸を借りたいだけなの。だから、何も聞かないで少しだけ……ここに居させて……?」
私はゆっくりと、土居くんのTシャツに自分の顔を押し付けた。
とくとくと聞こえる心音があったかくて、また涙が溢れてくる。
土居くんはそんな私の背中に腕を回して、強く抱き締めてくれた。
先生、ごめんなさい……でも、私そんなに強くない。
先生が思うほど、強い子じゃないんだよ……
あんな悲しいキスは……
あんなみじめな思いは……
もう二度と、したくない。