金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜
「ねえ千秋。千秋を支えるの、私たちじゃ役不足……?」
「私もそれ言おうと思ってた。こういうときの友達じゃないの?好きでもない男を頼って後悔するより、私たちに話す方がずっといいと思う」
寂しげに微笑む有紗と、苛立ちをあらわにする菜月ちゃん。
どうしよう……二人の優しさが嬉しいよ。
全部話してしまいたい。
つらいこと全部吐き出して、楽になりたい……
でも、小夜子さんのことは誰にも言わないって、先生と約束している。
その秘密を、ここで打ち明けていいの……?
「ああもう!じゃあ私のトップシークレットを教えるけど、私が付き合ってるのは一年G組の担任で国語担当の木村先生。気弱そうに見えるけど意外とSで、エッチの時目隠しされたことある」
「ええっ!?菜月ちゃんそれ本当?」
「うん、本当よ。……ほら千秋ちゃん、私はこんなに恥ずかしいこと話したんだから千秋ちゃんも頑張って」
「そうだよ千秋、もう充分一人で悩んだよ。それとも私たちが信用できない?」
私は大きく首を横に振った。そして頼もしい二人の姿を潤んだ瞳に映す。
話そう……全部。
きっとこの二人なら、受け止めてくれる……
「有紗……菜月ちゃん…………
……ありがとう」