金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜

「なにがあっても……俺らは杉浦の味方だからな」


最後に土居くんがそう言うと、杉浦くんは急にうつむいてしまった。

みんなが心配そうに、彼の言葉を待つ。




「……………変な人、ばっかりだ」




ぽつりと呟いた杉浦くんの言葉に、私以外は首を傾げた。


私はその“変”の意味を知っているから、胸に熱いものがこみ上げてくる。




「誰もいなかったのに……そんなこと言ってくれる人、今まで一人も……」




ぽたぽたと教室の床に零れ落ちる涙を見て、みんな安堵のため息をついた。

杉浦くんの心に、自分たちの気持ちが届いたって、知ることができたから。




「……すぐに毎日ってわけにはいかないかもしんねぇけど、なるべく来いよ、学校」


「……っ……頑張って、みる……っ」




涙声でそう言った杉浦くんの頭を土居くんがわしゃわしゃっとなでると、杉浦くんは余計に泣いてしまった。


学校生活っていやなこともあるけど、ここでしか得られない物もある。

声に出して言うのは恥ずかしいけど、私たちは、かけがえのない仲間だ。

どんな時も自分のために一所懸命になってくれる、優しい仲間。


きっと杉浦くんはそれに気づいたから、もう大丈夫……



私は少しもらい泣きして目の端ににじんだ涙を指で拭いながら、そんなことを考えてあたたかい気持ちになっていた。


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