金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜

ミニトマト


私が風邪を治した頃、三年生になってから初めての進路相談があった。

お昼休みと放課後を使って一日数人ずつ、先生と向き合って、進路について話す時間だ。


その最終日の放課後、誰もいない教室で、私も先生と向き合う時が来た。



「――――教育学部?」


「はい……」



開け放たれた窓から差し込む夕陽に照らされた先生の顔は、驚いていた。

私が頷いても、しばらくじっと私を見て固まっている。


有紗たちに言われるまま、先生という職業について少し調べてみた私。


先生と一口に言っても、小学校か中学校か、高校か……何の教科を教えたいのか……

決めなくちゃならないことがたくさんあって、うんざりしそうだったけれど……


その中で、もしかしたらこれは自分のやりたいことなんじゃないかって、ぼんやりとだけど思えたものがあって……



「養護教諭養成課程に、行ってみたいなって……」



私はためらいがちに、そう伝えた。


正直、血は得意な方じゃない。だけど、誰かの痛みを和らげる手伝いができる保健室の先生になれたらって……

そう思うと、胸に明るいものが灯ったような気がしたから。


< 345 / 410 >

この作品をシェア

pagetop