金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜

「全部、アンタのせいよ……!」



私が叫んだ直後、扉が開いた。

その時にはもうパンプスが私の手から離れていて、中から出てきたこの家の住人の胸のあたりに勢いよく命中した。



「痛っ……何だこれ、靴?」



恩田は床に落ちた私のパンプスを拾い上げ、こちらに視線を向けた。



「どちらさま…………あれ?きみはもしかして……」



私は恩田から目をそらして、裸足のまま駆け出した。



「待って……!三枝さん!!」



ついて来ないで……!


私はやっぱりアンタみたいな教師は大嫌いだ。


生徒のためを思う振りして、適当なことばかり言って……

それがどんなに生徒に影響を与えるかなんて、考えてないんでしょ……?



「……っ、はぁ」



息が切れて途中で立ち止まると後ろからしつこく追いかけてくる足音が聞こえて、私はまた走り出す。


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