イベリスの花言葉。
自分勝手な、妄想劇



どうして、こんなことに・・・。





遥か5時間以上も前の出来事を思い出す。
『陸のパートナーとして今夜のパーティに一緒に出席しなさい!』
社長命令よ!と言い張った彼女を殴りたい。
まあ、社長の強すぎる権力には勝てないから渋々頷いたものの。

仕事なんてどうでもいいのよ~!と放り投げ。(あたしの5時間分の苦労)
社長も仕事を放り投げ。(あたしが昨夜残業してまでまとめてあげたもの。)
社長室に鍵も掛けずに飛び出した。(きっと後であたしが守衛さんに怒られる。)
ドレスを買い、靴を買い、アクセサリー類を揃え、他の店のドレスに一目惚れし。靴もアクセサリーも買いなおし。
どこぞのホテルに連れて行かれ、一流と名がつくアーティストたちの手によってメイクやら髪の毛やら爪やらを散々弄くられたあたしは、自分でも驚くほどの変貌を遂げていた。

ただ、全ての仕度を終えたときには、クタクタで動けなかった。
だがしかし。時刻は既に七時過ぎ。
ホテルの目の前に数台のリムジン。
その一つにあたしを放り投げた社長は自分は乗らずに甘ったるい笑みであたしを見送った。
恐る恐る振り向き、一瞬にして社長の方を向いたあたしは、目だけで無理だと訴えるも聞いてもらえず。
無情にもリムジンは発車してしまった。
仕方なく開いていた隅の方に背中を向けるように座り、取り出したノートパソコンで怒りのまま、明日の社長の仕事を送りつけてやった。
いつもみたいに優しいものではなく休憩なんて挟ませない。三日三晩寝ずにやって終わるかどうかの内容だが知ったこっちゃない。




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