風紀委員と二重人格優等生
「情けないなぁ。」
白石はやれやれと肩を竦め、それから私を振り返る。
「大丈夫?」
「……あ、ああ……特に問題はないが。」
「そ、良かった。」
白石はニコッと笑うと、私の腕を取った。
「何だ?」
「俺の手、振りほどいてみて。」
「は?」
「奈美ちゃんは確かに強いね。でも女が男に勝るなんて、そんなことは出来ないよ。」
「……バカにするな。」
白石の手を振りほどこうと腕を引くが、びくともしない。
「くそ……」
「無駄だよ。ほら、」
白石が掴んでいた私の腕を引き寄せ、私の体を懐に入れた。
「こんなに簡単に抱き締められる。」
「――なっ…やめろ!離せ!」
「奈美ちゃん、どんなに強くても奈美ちゃんは女だ。それをちゃんと自覚して。」
「何言ってんだ!いいから、離せ!」
抵抗すればするほど、白石の腕の力は強くなるばかり。
なんて力だ……。
「ちゃんと自覚してくれるまで離さない。」
「自覚って……どうすればいいんだ?」
「約束して。もう一人で危ないことはしないって。何かあったら俺を呼んで。」
「な、何でお前を…。大体、白石には何の関係もないだろう!」
「まぁ、そうなんだけど。何かほっとけないんだよね。見てると危なっかしくて。だから、ね?約束して。じゃないと、このままずーっと離さないよ?」
笑う白石の目は本気だ。
「分かった、分かったから!もう離せ!」
そう言えば、白石は満足そうにして腕を離した。
「約束、だからね?」
「……分かったよ。」
腑に落ちないが仕方ない。
「……戻るぞ、学校。」
「奈美ちゃん真面目!」
「お前も学校じゃ真面目だろう。」
「まぁね。ああ、折角の皆勤賞が……大遅刻だね。」
意識を失っている男を置き去りにしたまま、私達はビルを出た。
「アイツ大丈夫か?」
「平気だよ。力加減したし、もうすぐ目覚ますよ。」
あれで力加減……。
敵には回したくないな。
そんなことを思いながら学校についた頃には、2時限目の授業が終わる所だった。