―奏― 君に捧げる愛の歌


「おいっ!何勝手に聞いてんだよ。」



その声に驚いて目を開けると、

さっきまでギターを弾いていた彼が、私の目の前に立っていた。



でも、暗闇で彼の顔はよく見えない。



「すっ すみません。


綺麗な声だったから・・・
つい。」



「あぁ!?
お前に何が分かんだよ!!」



どうやら、勝手に盗み聞きしていたことを怒ってるようだ。



どうしょう・・・


こんな人気のないとこで、何されるか分からない。



身の危険を感じた私は、


「すみませんっ!!」


と謝ると、逃げるようにライブハウスの中へ戻っていった。





その時、ポケットに入れていた財布を落としたことにも気付かずに―


< 21 / 208 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop