甘い台詞でときめいて~レッスンで~【TABOO】
「チハ。帰らんの?」
「冬樹くん。練習しようと」
「そっか。じゃあ、僕もやるよ」
「でも…」
「あのシーンでしょ?僕がいた方がいいでしょ」
「じゃあ、お願いします」


甘い台詞でもない。けれど、どうしても台詞を続けることが出来ないのだ。


─町を歩く少女の前から武将が歩いてくる。
「あ…(利家様)」
それに気づいた少女は立ち止まり、一礼する。

顔をあげると、武将がそこにいる。

「あの…利家様?」
「お主…」
「は、はい」
「ワシと来い!」

そう言って、冬樹─前田利家─は千春─少女─の手を持って、歩き出す。─


これが千春が出来ないシーンだ。短いシーンだからこそ、恥ずかしくなる。
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