* another sky *
さっきからずっと、ドアベルが鳴っている。
立ち上がるのが億劫で、無視していた。
ガチャ、―――。
鍵を回す音が聞こえて、ドアがゆっくりと開く。
―――――!!
合い鍵を持っているのは、お母さんと…、航太。
ああぁっ!!
私の、バカ。
ドアチェーン、してなかったんだ…。
「…玲…?」
名前を呼びながら、リビングのドアを開ける、航太。
「玲っ!!」
私の姿を確認すると、大股で歩み寄る。
ソファーに頭をもたれさせていた私は、ゆっくりと頭を上げた。
頭が、重い…。
泣き疲れて、力が入らないの…。
ねぇ、航太…。
どうしてあなたは、そばにいてくれないの?
「…っ!」
私の両肩を持つと、愕然とした表情で絶句する。
その瞳に、疲労の色が見えて、私は思わず、目を伏せた。
「…すまなかった…。」
ぎゅーっと、強く抱きしめられ、力の抜けた私の身体は、ふらりと揺れる。
…航太の…、匂いだ…。
「ごめんな、玲…。
本当に…、ごめん……。」
「…こ、うた…?」
どうしたの?
どうしたの、航太?
何故、謝るの?
何故、泣いているの…?