* another sky *

「ちょっ、…玲っ??」


振り向くと、そこには梨花が立っていた。


「梨花…。」


私を見た瞬間、何故か泣きそうに、顔を歪ませて。


「…、どうしたの?」


どうしたの、だなんて。

私も結構、間が抜けてる。


「…、あんたは……。

どうしたの、じゃないでしょう?」


眉間に皺を寄せたまま、梨花がふわりと私を抱き寄せるから…。

ちょっと、泣きそうになるじゃない…。


「何で連絡くれなかったの?」


ああ、……やっぱり…。


航太と別れたこと。


麻友理に、聞いたんだ……。


「ごめんね…。

私、しばらく一人で考えたくて…。

誰にも…、頼りたくなくて…。」


みんなきっと、気を使ってしまうでしょう?

折角、綾子は紺ちゃんと上手くいきそうなのに。


「私のせいで、ギクシャクするのは、避けたかったから…。」


「…玲って、馬鹿ね…。」


梨花は、泣き出してしまった。


「梨花…。」


私はもう、大丈夫だからって、言おうとしたんだ。



だけど。



梨花の目の奥に、激しい怒りが見えて……。


私は一瞬、戸惑ってしまった。


「…、梨花…?」


もしかして、もう既に迷惑かけてたとか?


私のせいで、綾子が駄目になったとか?


不安を隠せない私の瞳を真っ直ぐに見て、梨花は言い切った。



「私は、―――。


私は…、渡瀬さんを、許さないから。」
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