* another sky *

玲と麻友理は、全然違う。

玲は、俺が見つけたんだ。

誰にも開発されていない、いわゆるまだ、原石。


少女から大人の女性へと、目覚めさせたのは、俺だ。

俺だけを真っ直ぐに見つめる玲を、大切にしたかったんだ…。

初めてのキスから、ゆっくりと時間をかけて。

「愛してる。」も、「好きだよ。」も、惜しみなく囁いた。

恥ずかしそうに真っ赤になった玲を、初めて抱いた時。

今までの恋愛が何だったのかって思うくらい、興奮した。

思った通り、あっという間にキラキラと輝き出したよ。

それはもう、眩いくらいに。


だけど、深く玲を知るようになって、気付いたんだ。

いつもにこにこと、人を惹きつける天性の性分の裏側には、臆病で傷つきやすい玲が隠されていたことに。


誰とでも仲良くなれるようで、実は人見知りが激しい、玲。

本当は、小さな事にも傷つきやすい玲。


両親の仕事の関係で、子供の頃は引っ越しが多かったと聞く。


転入生はね、珍しがられるから、最初は人が集まってくるんだけど、あっという間に飽きられちゃうの。

そして、私になら何でも言っていいと思って、いろんなところで名前を出されるの。

良い事もあったけど…、大抵が悪い事だった。

玲が言ってたとか、玲がやった、とか…。


結構、辛かったな…。


俺の腕の中で、ぎゅっと身体を近寄せて。

初めて聞いた、玲の本音。
< 209 / 769 >

この作品をシェア

pagetop