* another sky *

本当は玲の方がしっかりしているんだよね。

私の方が、玲に支えられている。

何もかもが、私は、中途半端。


そう気付いたのは、由樹と別れた後、だ。

由樹がいなくなって、私は何ひとつ、一人で出来ないことに気付かされた。


会えなくても平気だったのは、家に帰るとそこには由樹の存在があったから。

長い付き合いだったし、約束がなくても、会いたい時にお互いの部屋を行き来して。

それが、当たり前の、毎日だった。


別れてから少しずつ消えていくその存在…。

部屋が冷たく感じられて、寂しくて、不安で仕方なかった。


隣に誰かがいないと、耐えられなくて…。



犠牲になったのは、玲、――――。



羨ましかったんだ…。


ずっと自分より下に見ていた玲に彼氏が出来て。

その彼氏は、今まで私が出会ったことのないような素敵な人で。


私立の一貫校からそのまま大学に進んだ、絵にかいたような良家のお坊ちゃま。

背も高いし、顔もイケメン。

性格は穏やかだし、優しくて、品がある。


やっぱり、育ちって大切なんだって思い知らされたくらい。


梨花は年下の彼と楽しくやってるし、綾子だって、エステやネイル、合コンに毎日忙しそうに過ごしている。


私だけだ…。


私だけが、何もない。


私だけが不幸だって、思ってた。

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