* another sky *


「やだ。絶対、ピンクはやだっ!!」


「絶対、ピンクが似合うって!!」



結婚式の準備って、もっと楽しいもんじゃあ、ないのか?

俺は目の前でふくれっ面をした玲に、溜め息を吐く。


「あ、溜め息なんか吐いちゃって!!」


「だって、玲、―――。

俺が似合うって、言ってるんだからさ―――。」


「どうして翼の言う事、聞かなきゃ駄目なのよっ。

ドレスは女の子の憧れなんだよ?

着るのは、私なんだからっ!!」


そう。

お色直しのドレスの色で、喧嘩中。

プランナーのお姉さんも、困ったように笑っている。

玲には絶対ピンクが似合うのに、頑なに嫌だって言い張るんだ。


「まだお時間もありますし…。

いろいろ他のドレスも見ていただいて…。」


「可愛いって、絶対。

これが一番、似合うって!!」


俺の中でイメージ、出来てるもん。


「嫌だったら、い、や、だ!!」


ったく、何でだよ。

絶対ピンクの、ふわふわしたやつが似合うのに。


「私、ピンクならお色直し、しないもんっ!!」


誰か、どうにかしてくれませんか??


「それで、―――?

上原選手はどうしたいん?」


「ったく、玲の頑固さには、ほとほと呆れますよ!!」


堪りかねた俺は、ただ今、諏訪さんをお誘いして愚痴り中。
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