* another sky *

「上原さんなら、女性が放っておかないだろうし、不思議で。」


クスクス笑いながら、

「玲もさっき、何でだろうって。」

と、玲のいる方へ視線を向ける。


「一目惚れ、です。」


「えーっ。本当?」


「完全に目を奪われちゃって、どうにか会話しようと必死ですよ。」


面白おかしく誇張しながら、俺は玲との出会いを話して聞かせる。


「最初はね、僕の印象、相当悪かったみたいですよ。」


「嘘!!」


最初から目が離せなかった俺とは反対で、玲は俺のことを完全に視界から除外してたからね。


「話しかけても返事してくれないし、結構、へこみましたよ。」


「愛想、わるーっ!!」


梨花さんは、俺の言葉に爆笑する。


「どうにかこうにか、やっとここまで来た感じですね。

出会った頃はきつかったんだろうなあって、今は思えます。

プライベートでは、他人と出来るだけ接触しないような印象を受けましたから。」


「…ああ。」

そう言って、梨花さんは下を向いた。


「追い詰めてしまった原因は、私にあるんです…。」


「えっ?」


「玲ってね、誰に対してもニコニコ笑ってて。

そんなイメージしかなかった。

お利口さん。

素直に育ったんだなあって、優等生でいい子の第一印象。」


そっと顔を上げると、ゆっくりと息を吐き、俺の目を見て話し出す。
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