* another sky *

庭に面したソファに、二人並んで座っていた。

死角になっていて、向こうからは俺が見えないらしい。

何だよ、楽しそうに笑っててムカつくな。

さてさて、何て、声かけよう。

呼んで来ると言ったものの、声、かけ難いな…。


玲の笑い声が、聞こえる。


何、話してんだ??


「…どうしようもないくらい、彼のことが好きなんだよね。へへ。」


え、―――??


途切れ途切れに、玲の声が聞こえる。


俺の、話、―――??


今、どうしようもないくらい好き、って言ったよな…。

あいつに、俺のことが、好きだって。

どうしようもないくらい、好きだって。


あまりの嬉しさに、顔がにやけてしまう。


うわ…。

まじ、嬉しいんだけど。


「おいおい、失恋した俺に、思いっきり塩、塗り込んだな。」


「先に塩、塗り込まれたのは私だもん。」


そう、だよな…。

もう終わったことなんだ。

玲にとっても、俺にとっても、もう昔の話―――。



「キス…。」



――――――!!



え、―――??



キス、―――?



何で、一気に生臭い話になるんだよ。

最後にキスしようとか言い出したら、殴ってやる!

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