* another sky *
「俺たちが付き合ってた時の玲とは、全然、違うよ。」
当たり前だっつーの!!
「彼が待ってるから、戻ろうか。怒られるよな。」
は、―――??
何様だよ。
どんだけ余裕ぶってんだよ。
余計な、お世話だっつーの!!
お前は、振られてんだよ!!
「怒らないよ。翼はこんなことで、怒らないから。」
―――――!!
「……っ。完敗だなぁ。」
あいつの、玲の、笑い声が重なる。
駄目だ…、俺、めちゃくちゃ動揺してる。
立ち上がる気配を感じて、俺は慌てて壁際に隠れた。
「……っ。」
何なんだ、よ…。
何で隠れたりしたんだよ。
俺に気付かず、通り過ぎていく二人に愕然として。
堂々と、出て行けば良かったじゃん。
ずるずるとしゃがみ込み、頭を抱えた。
二度と、触れられたくないと思ってた。
それが、なんだ。
キス、してるじゃん…。
しかも、情熱的、なやつ。
――――――――。
落ち着け。
落ち着け、俺。
今日は綾子さんの結婚式だろっ。
落ち着け、俺っ!!!