89×127

再会


「ひかり、準備できた?」


「ま、待って!USBもったよね?カメラも持ったし、忘れ物 ない?」



結婚披露宴当日、渚のおうちの車で渚と一緒に会場に向かうことになっていたため、渚が我が家に来ていた。

渚ママはうちのお母さんと談笑中だ。


最後の確認をして会場に向かうと、そこにはすでにともやんをはじめとするサッカー部組と、うちのクラスのじゃんけん勝ち残り組が到着していた。



「二人ともおせーぞ」


「ひかりがもたもたしてるんだもん」


「受付まではまだ時間あるもんねーだ」



渚に「お手洗いに行ってまいります」と一声かけて輪から離れたのだが、お手洗いから出たところで、中川くんと出くわしてしまった。


そういえばさっきの集団にはいなかったな。今ついたのか。



「…中川くん、おはよう」



急な登場に心の準備ができていなかったため、心臓を急稼働させることになってしまったが、二人になれるチャンスなんてそうこないと思い、思い切って声をかけることにした。



「ちょっと、時間いいかな?」



ずっと鞄に入っていた写真。

今やっと渡す時が来た。



「真鍋先輩、なんか、久しぶり、ですね…」


「そうだね…あ、のさ、これ、ずっと渡せなかったの、今渡すね」




それはいつかの帰り道、一緒に見上げた夕暮れの空。


昼間が闇に侵される瞬間。

お兄さんが一番好きだと言っていた、目の前の彼も同じように好きだといった景色。



これだけ渡せなかったのが、心残りだったんだ。





< 174 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop