89×127

「ずっと渡そうと思ってたんだけどね、なんか、タイミングつかめなくってさ」



これが、彼との最後のつながり。

これで、本当に終わりにする。


中川くんの手に渡った写真は、文化祭でも使わない、ここだけのもの。

どうしてもみんなの目に見せたくなかった。あたしの変な我が儘だ。



「これ、あの時の……」



ともやんもいれて、3人で歩いた帰り道。

あの時はこんなことになるなんて思ってもみなかったなぁ。


中川くんのことが好きで好きで、隣にいるだけで高揚した心は、今はただ悲しく痛むだけだ。



「そう、あの時の。ちゃんと渡せてよかった…じゃあ、あたしもう戻るね。松下たつのりのことからかってやらないとだからさ!」


「あ、の…!」


痛む心は見ないフリをして、呼び止められる声は聞こえないフリをした。


無理やり笑顔を張り付けてその場を離れる。


これで終わり。

君のことを想うのは、もうおしまい。



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