杞憂きゆう〜ムダなことなどひとつもないね〜短編集

「 あのね、
昨日ね、
さほと
コンビニに行ってね…。 」



オレさ
今、
どうしようもなく
目の前にいる女の声が
うっとうしく思えてきた。


あれ?
オレさぁ
この女の
どこが好きだったのかな?



「 それでね…
さほったら…。 」



オレがちゃんと話を聞いてなくても
勝手に喋り続けている。

本当にオレさぁ
この女の
どこを好きになったのかな?



「 ノドかわいちゃった。
コーヒーもらってくるね。
授のも入れてこようか? 」



「 そうだなぁ…
あっ!
オレも行くわ。 」



オレの彼女だと思う女の後ろを歩いている。

オレが後ろを歩いてるからか
オレが聞いてるのか確認しないままで
ずっと話をしている。


やっぱりオレ
この女の
どこが好きになったのか?
わからない…
思い出せない…



「 でね…
さほがね
授の友達紹介してほしいって。 」



へ?
オレは
今日の会話で
はじめて
この女の声が心に響いたと思う。


オレの友達紹介?
はぁ?




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