「すき」だらけ

あれは確か高校一年の秋、席替えでたまたま前の席になったのが颯太だった。



人懐こい感じでよく話しかけてくるし彼女もめちゃくちゃ可愛い。



あたしは一気にこの2人を好きになって急激に仲良くなった。



だからつい何でも話してしまってたんだよな。



自分は寺の娘でバカにされてたから絶対に高校に入ったら新しい自分になりたいと思ってたことも彼氏が欲しいと思うから告白してることも。



でも本当のことは言えなかった。
だからどこかで壁を作ってた。



颯太と風香が楽しそうに話してることが辛かった。あたしにはそんな風に話せないから。



彼氏を作らなきゃ。




風香みたいに可愛く笑わなくちゃ。
早く2人みたいにならなきゃ。



ふわふわの綿菓子が手に入らない。



欲しくて欲しくて仕方ないのになんで手に入らないの？風香はあんなに簡単に手にいれてるのに。



あたしと風香は何が違う？



どうしてあたしは誰の前でもあんな赤い顔して幸せそうに笑えないの？