True my self -本当の自分-
次の瞬間---。
…サッ、と顔元に近づく右手を避けた。
「読まれてたんだぁ~…」
…なんとなく、植木さんの口調が甘ったるくなってきた気がする。
私はこの状況に、無意識に表情をこわばらせていたらしい。
すると、植木さんは口を開いた。
「…全部…気に入っちゃったんだもん……麻愛李の全部…っ!」
…この状況で、どんな言葉を掛ければ良いのか、全くわからない。
そう、黙り込む私に植木さんは言った。
「…傍に、居るからね……」
その言葉に、全身に寒気が走った。
もう、少しは悟っていた。
---これから“必ず”、何かが起こること…
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