カゼヒキサン。
「…。」

「…。」


沈黙がただただ流れる

視線を横にそらすと、真っ赤になった海斗の耳が見えた。





「…え?」

や、やっぱり状況が読めないよ。

「意味分かんない…。」


「…だから!!」

海斗は抱きしめた力を緩め、至近距離であたしを見つめる。

「俺は瑞希の事恋愛対象として好きって言ってんだよ…。」

「…ええ!?」

「あのキスだって…無理やりだったけど、ちゃんと想いがこもってたよ。」

唇が熱い。

顔が熱い。

体が熱い。

え、え、え。

マジで?

ねぇ冗談言って…ないよね。さすがの海斗でも空気くらい読む…よね?



「…キスした夜、覚えてる?」

「え、……うん。」

「あの日、俺…瑞希にキスした後…『抱きしめて』って言われた気がするんだけど。」

「…………言った。」

キスが嫌じゃなかった。

嬉しかったんだよ。



「…教えてよ、あの言葉の意味。」
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