女の子は充血している
せつなさのたいきょく

見つめる。

まつげ、結構長い。

て言うと

「まばたき、めっちゃ多い。」

て言われた。

じろじろ。見つめあう。


昔はさ

こんなところにこんなしみとか

なかったよねぇ。

「そっちこそ。」

「そんなふうに笑っても、

しわなんてでなかったよ。」


ほっとけ。


ぴちぴちしてたねお互いね。

10年ひと昔。

とは、よく言ったもんだ。

どんどこ年とっていくねぇ。


あなたはどんなおじいさんに

なるんだろうか。

私はどんなおばあさんに

なるんだろうか。


じろじろ。

その頃もまだこうやって

見つめあっているんだろうか。



爪とか歯とか、なんでもいいから

あなたの一部が欲しいんだけど。

いつかずっと前にそう言ったら、

不思議そうな顔してたね。

今はあなたの骨が欲しいな。

いつかあなたが死んでしまったら、

もらうつもり。

あ、でも私より先に死んだら

殴るよ?

「じゃあどうしろって

言うんだよ」

笑われた。

まだ混沌としている、

遠い未来の話。

だから今はとりあえず、

保留。


白髪はえてるよ。

抜いてもいい?

「だめ。」

・・・髪の残数、気にしてるから?

「うっさいな。」

図星だった。

よしよし。頭なでる。

「あんま寄ると、汗くさいよ。」

別にいいじゃん。そんなこと。


はげてもいーじゃん。

しみしわ増えても。

汗くさくても。

なんだって。


生きてる証拠。全部。

頑張ってるしるしだもん。


くたくたに疲れてる人。

先に眠ってしまった。

みのむしのよーに

布団にもぐる。

ちんちくりんの姿。


やっぱり死んだら、

殴ろう。

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