女の子は充血している
闇の海

手を

つないでほしい気持ちが

満たされると

抱きしめてほしい

気持ちが生まれる


いつかそんな

気持ちのすべてが

枯れ果ててしまうこと

今はまだ気づかないふたりは

「いつまでもいつまでも

どうかこのままで」と

暗闇にともる小さな

火の玉のような祈り

つないだ手の内側に 

大切につつんで歩く


波の音をきいて。

道しるべもなくて。

世界中が夜で。

ふたりしかいなくて。


抱きしめてほしい

気持ちが満たされると

抱き合っていても

なにも感じなくなる


いつかそんな

気持ちの残酷さに

飲み込まれてしまうこと

今はまだわからないふたりは

「これからもなにひとつ

決して変わりはしない」と

やせこけたのら猫の

最後の寝息のような誓い

抱き合う胸と胸のすきまで 

必死にあたためる


潮の匂いをかいで。

帰り道はなくて。

月明かりもなくて。

あなたしかいなくて。



初めてあなたを必要ないと

気づいてしまった

闇の海で。
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