INそしてOUT
「そうね。私なら、姉の姿は消えたけど、そのお腹に子供が出来てきて男は子供の霊に付きまとわれる……っていうのはどうかしら?」
派手な目元も追加話もグロテスク。

「じゃ。行くね」
幸せそうに笑って、妻はトランクを手にする。

その中には
俺が親から貰った金が入っている。

何年か遊んで暮らせるぐらいの金額。

「あなたが売れない作家でよかった。皆には『インドに行った』って話してるし、家賃もしばらくの間は払ってる……両隣が空いたから異臭がしても気付かないし」

もう俺が腐る話かよ。

「溶けてもバスルームだし。じゃ」
笑顔で妻が視界から消えて行く。

意識が薄れてきた。

そう

俺は売れない自称作家。

絶対売れるから……彼女を騙して結婚。貧乏生活に怒る妻。激しい喧嘩が続いていた矢先に、俺の父親が死んだ。

父親は高速道路が通る広い土地を持っていたらしく、それを売ったら信じられないくらいの大金が手に入る。

俺は妻にやるのが惜しくなり、金でもめた。

すると

『お湯の出が悪いの』と、俺はバスルームに呼び出され……頭を殴られ腹を刺された。

もう

そろそろ死ぬだろう。

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