ラララ吉祥寺

「知らせたって、困らせるだけです。

子供は諦めろって言われたら、わたし……、どうしたら良いんですか!」

声を荒げ、突然に興奮し出した芽衣さんに驚いた。

「芽衣さん?」

両手で顔を覆い、咽び泣くその姿は、弱弱しくて放ってはおけなかった。

「だって……、だって……、彼にとってのわたしは、どこまでいっても妹でしかないってわかったから……」

自分の発した言葉にはっとして、芽衣さんが椅子から立ち上がった。


「ち、ちがうの……、文子さん、違うんです。

彼には妹でも、わたし達は本当の兄妹じゃない!」


声を震わせ立ち尽くす、彼女の興奮は頂点に達していた。


わたしは、わかっていますよ、と彼女を宥め、ソファに横にならせて眠らせた。

きっと何日も、眠れない夜を過ごしてきたに違いない。

彼女には休息が必要なのだと思った。
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