ラララ吉祥寺
「わたしは……、物事にはタイミングが必要なんだと思い知らされた気がしました」
一層険しい表情で口を開いたわたしを、木島さんが心配そうに覗き込んだ。
「文子さん?」
「恋をするのも、子供を産むのも。
好きの気持ちだけじゃどうにもならない、時の運、みたいなものがあるんだろうなって。
わたしは……、その時の運に見放されたんだって。
彼やわたしの邪魔をした世の中の全てを恨んで。
でも……、木島さんの話を聞いてたら、なんだかちょっと違うなって思えてきました。
当時のわたしは、彼を好きな気持ちが強すぎて、周りが全然見えてなかっただけなのかもしれないなって。
高校生だった彼に父親になることを強いるほど、わたしにだって覚悟があった訳じゃないのに。
否定されたことで、彼の愛を疑ったのはわたしなのに。
そんなのただの逆恨みで。
彼を追い詰めたのはわたしなのかもしれないなって……」
わたしは子供だっただけなのだ。