ラララ吉祥寺

トントンと背中を叩く木島さんの大きな手が、わたしに元気を与えてくれる。

「文子さんは大人なんだか子供なんだか。

自立してるようで、頼りなげで。

うっかりすると内に篭る傾向はいただけませんね」

なんて、上からお説教じみた言葉が落ちてくる。

「なんだかわたし、子供扱いされてませんか?

二つしか違わないのに」

そう言うわたしの声は少しだけムッとして聞こえた筈だ。

「身体が大きい分、僕の立場は有利ですよ。

こうして慰めることもできますしね」

そう言って彼はもう一度強くわたしを抱きしめると、わたしの腕を掴んで自分の身体から引き離した。

「もう泣き止んだみたいですね。

顔を洗ったら、出かけましょうか」

まるで何事もなかったように、彼はわたしを洗面に追い立てた。

そして、早く出掛けないとお昼にかかっちゃいますよ、と言い残し、木島さんは車を取りに出ていった。
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