ラララ吉祥寺
花岡俊夫

上手く芽衣さんの気持ちを伝えられるか、不安だったのだけれど。

彼女が家を出た後のこと。

妊娠がわかった時のこと。

そして出産を終えた芽衣さんの様子。

芽衣が花岡さんと距離を置くことで必死に守ろうとしてきた未来について、一つずつ確かめるように思い出していった。

目の前の花岡俊夫さんは、真剣な面持ちでわたしの話を聞いていた。


「じゃ、芽衣は今病院に……」


「その子は僕の……」


時折確認するように、呟くその声はとても落ち着いているように聞こえたのだけれど。

「芽衣さんは……、貴方に否定されるのをとても怖がっていました。

だから、貴方に黙って子供を産むんだと言っていました。

彼女の今の気持ちを考えると、貴方が子供ごと芽衣さんを受け入れる覚悟が無いなら、彼女には会わない方が彼女の為かもしれません」

わたしは全てを話し終え、そう自分の意見を付け加えた。


「で、お前はどうするつもりだ」


今まで黙ってわたしの話を聴いていた木島さんが、わたしに続けて彼に詰め寄ったのだ。
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