ラララ吉祥寺
第三夜


本日二度目のシャワータイム。


無駄毛の処理とか、お肌のトリートメントとか。

鏡をじっくり覗いたら、髪にも白髪を何本か見つけて気落ちした。

人間、三十五にもなれば、白髪の一本や二本。

いや、三本や四本……。

普段化粧っ気の全くないわたしだから、お化粧ののり云々はわからないのだけれど。

それでも、増えこそすれ薄くならないソバカスとか、目じり口元の小皺だとか。

ハリの無くなった胸やお腹のたるみ。

気にし始めたら、そりゃもう気にならないところが無いという恐ろしさ。

「恋愛以前。心持の問題だわ……」

そもそも、木島さんに会うまでのわたしには、世の中に男性というカテゴリーが存在することすら頭から抹殺していたくらいなのだ。

父親の顔も知らないし。

わたしは母のお腹から生まれ出た奇跡の子、みたいな。

唯一信頼していた雅人にも裏切られ、男なんて役にも、頼りにもならない、そう思って無視を決め込んできた。


今更何を……。


ここ数日の木島さんとのやり取りを思い出して苦笑した。

女を捨てて生きてきたわたしが、今更彼に何を求めようというのだ。

同居人という枠を超えて交わった先に何があるのか。


考えるだけでも恐ろしかった。
< 221 / 355 >

この作品をシェア

pagetop