ラララ吉祥寺


彼は暫く無言で俯いていたが、意を決したように顔を上げた。


「突然で驚かれるとは思いますが、宏子さんが亡くなったと聞いた今、僕の口からしか貴方に伝える人は居ないと思うので……」

「はい?」

そのもったいぶった言い回しに、わたしは訝しげに首を捻った。


「僕が貴方の父親です」


彼は静かにそう言った。


「はい?」


わたしは一瞬耳を疑った。


まさに寝耳に水だった。
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