ラララ吉祥寺

「気詰まりか……」

言われてみれば、この狭い家の中、木島さんと二人切りとなると、なんだかいきなり新婚さんみたいで気恥ずかしいのは確かである。

母の残してくれた遺産が見つかった今、経済的に困っているわけではないのだけれど。

次に来る人が、芽衣さんや木島さんのように、わたしにとって大切な人になる補償もないのだけれど。

不安を埋める何かが必要だと思った。

とにかく、思い立ったら吉日だ。

先ずは行動を起こさなくては状況は変わらない。

わたしは早速、twitterで呟いた。

『中央線吉祥寺徒歩10分木造2階四畳半洋間下宿人求。要定職家事能力。奇癖アレルギー無。他委細面談』

呟いたのは前回と全く同じ文面だ。

しっかりメモしてあるからね。

さてさて、今度はどんな人が連絡してくるかなぁ~

これで一先ず、心の中のモヤモヤは収まった。

『下宿人再募集中』

木島さんに報告のメールを打つ。

『気が早いですね。了解』

速攻で、木島さんからなんともそっけない返事が返ってきた。

でもまぁ、彼のことだもの、きっとわたしの今の心境をわかってくれている筈だ。
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