ラララ吉祥寺

「これが一週間前までのわたしです。

女は化粧と髪型、服装で化けるんです」

「そんなもんかな」

「そんなもんです。

以前のブランドはスーツが中心のコンサバ系だったし。

もともと、わたしってきっちりきっかりの優等生タイプで、どちらかというと、この写真のわたしが本来の姿かも。

でも、若者向けのブランドに移動になって、思い切って髪染めてデジタルパーマかけて、服も丸ごと新ブランドで入れ替えて。

出来上がった今の自分を見て思ったんです。

なんだ、変わろうと思えば変われるじゃんって。

今までの融通の利かない真っ直ぐな自分が見る影もなく消え去って。

なんか凄く脱力したっていうか。

人って見た目で中身も変われるものなのかもって。

だから、これからはタンポポの綿毛みたいにフワフワ飛んで、好きな場所で根付いて可愛い花を咲かせたいなって」

報われない恋は捨てることにしたんで、と付け加え、花岡芽衣は冷めた紅茶を大きく啜った。
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