ラララ吉祥寺
それから二年後


「さてと、準備はいいか?

出発するぞ」

「するぞ!」

チャイルドシートに座った紡がわたしの横で小さな拳を元気いっぱい突き上げた。

今日は補助輪をとる練習をするため、軽トラの荷台に紡の小さな自転車を積み込んで中央公園までお出かけだ。

「文子も準備はいい?」

軽トラのシートベルトは締めにくい。なんというか旧式なのだ。

おまけにこのお腹で向こう側が見えないし……

わたしがモタモタしていると、「いやいや、紡より手がかかる」そう言って木島さんが運転席から身を乗り出してきた。

わたしに覆いかぶさるように手を伸ばし、慣れた手つきでシートベルトをカチャリと締める。

「ありが……ん」体制を戻しながら、チュッとわたしの口元に小さなキスを一つ。

わたしの言葉は途中で飲み込まれた。

「あぁ〜、とうしゃんチューしたぁ〜」

「こらツムグ、目ぇつぶっとけ」

「つぶっとけぇ!」

最近こういうスキンシップが多い気がする。

第二子が生まれると子供がヤキモチを妬いて子どもかえりをするという話は聞いたことがあるけれど、旦那が恋人かえりをするとは……
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