魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−





「ほんと、貴方はムカつく人ですね。」

「オメエに言われたら俺もお仕舞いじゃね〜の。大概オメエも“ムカつく奴”の分類だ。」

「紗枝は凛先輩に可愛がられてるから良いんです。」

「ほら見ろ。“ムカつく奴”の分類じゃねえか。」





勝ち誇ったように笑う紗枝に響はカチンとくる。


後輩、華奢、妹系、そして何より女と言う立場、彼女に可愛がられる要素を沢山持つ紗枝が憎たらしかった。





「小動物みてえな面しやがって、ホントはただの肉食系だろ。」

「うふふ。凛先輩の前では純粋で真っ白な兎になるんです。」

「とんだ詐欺師だな。」

「頭が良いと言って下さい。」





あきらかに紗枝の目は肉食獣そのもの。ギラギラ光る目に狙われていることなど聖母は知る由もない。
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