魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−





「もし、幹久先輩を襲った人と、“通り魔”が同じ人なら、」





そう呟いたところで、凛は肩に掛けられたパーカーをギュッと握り締めて俯いた。幹久が『凛?』と呼んだことで意を決したように顔を上げて言ってみる。





「――――これから紗枝ちゃんと居れば、誰も被害者は出ないんでしょうか?」





憶測の範囲に過ぎないが、可能性は低くはない。


“監視”と言うのは聞こえが悪いが紗枝を辿れば“誰か”に辿り着けるのは間違いない。


これまで紗枝の心配をしてきたが“誰か”が知り合いなら、紗枝の身を案じることなく、気兼ねく、“誰か”捜しに取り組める。
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