こいのはなし
「ようやく、目があったな」
ふうわりと、羽毛のように笑う彼の顔。
こういう顔ってずるい、反則。
思わず見惚れてしまいそうになる笑顔は、今までの気持ちをたやすく無為にしてしまう。
「あ、また。視線外した」
だって、しょうがないじゃない。
鼓動がとくんと高鳴ってしまったんだから。
「お前さ、この間うちの会社に謝りにきてたろ」
「え、そうだけど。そっちの部署にも失態が届いて―――!」
私の反応を楽しむように、彼は喉の奥で笑っている。