きみと風になる
「沙希。今日一緒帰ろうぜ」

放課後。隣のクラスの村上がひょっこり顔を出す。

「自主レンなったからさ」

そう続けた彼の隣に並んで、昇降口へと向かう。村上がハンドルを握る自転車の後ろに跨った。

女はフツー、横向きだろと呆れられたけど、なんかそんなの恥ずかしい。

「俺さ。中2の途中から成長痛がきて、半年、陸上休んだことがあったんだ。あの頃は怖いもの知らずで、荒れて悶々としてる時、仲間がこうして後ろ乗っけてくれて。ああ、この感覚。ずっと忘れてたなって」

事故以来、結ばなくなったセミロングの髪が、風に靡かれていく。自転車に乗るのは、小学生ぶりかもしれない。
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