【TABOO】本棚の向こう側
今度は耳たぶを舐められて、ゾクゾクする。
「……もっ……やっ……」
クスクス笑った貴弘くんは、あたしの体をくるりと回転させた。
あたしが背にしている本棚の向こうには、彼氏がいる。
意識が全部、背中に行く。
気付かれたらどうしよう。

「……彼氏、俺に気付いたよ」
「……え?」
「でも、何をしているか、誰といるかまではわからなかったみたい。よかったね」

トン、と解放されて、あたしは思わず床に座り込んでしまった。

「ドキドキした? また遊ぼうね」

生意気な高校生は、手をひらひら振りながら行ってしまった。
あたしは……本棚に背を預けて呆けたまま、しばらく立ち上がれなかった。
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