それでも、愛していいですか。
前菜が運ばれてくると、加菜は「おいしそう」と言って目を輝かせた。
細長い白い皿に、一口ずつ違う前菜が三種類並んでいる。
「どれから食べようかなぁ」と嬉しそうに前菜を眺める加菜を見て、孝太郎の顔も少し緩んだ。
「なんか、かわいいね。加菜ちゃんって」
思ったことをそのまま口にすると、加菜は少しうつむいて「そうかな」と恥ずかしそうに呟いた。
加菜はうつむいたまま、しばらく黙っていた。
そして、ふぅと深呼吸をし。
「だけど……」
「ん?」
「みんなにそうやって優しいと、女の子は勘違いしちゃうよ」
その言葉に孝太郎は加菜をちらりと見た後、前菜に視線を落とし苦笑した。
「うん……そういう経験、ある。……だけど、無理に冷たくする必要もないでしょ?」
孝太郎はサーモンのカルパッチョをフォークで突き刺した。