それでも、愛していいですか。

「でも、勘違いさせちゃうのって……罪だよ」

加菜のその言葉に、なにも言い返せなかった。

高校時代、ただ普通に接していただけなのに、「好きでもないのに優しくしないで」と告白してきた女の子に言われたことがあった。

その子は、孝太郎が自分に優しくしてくれるのは、きっと自分に気があるからだ。だから告白してもきっとOKしてもらえる。と思っていたらしい。

そんなこととは知らず交際を断ったものだから、そう言われてしまったのだ。

加菜の言うとおり、勘違いをさせていた。

……俺は普通にしているだけなのに。

孝太郎は黙々と前菜を食べていたが、ふと手を止めた。

ちょっと待て。

加菜ちゃんの言葉の真意はどういう意味なのだろう。

単なる俺への忠告なのだろうか。

それとも……。

< 109 / 303 >

この作品をシェア

pagetop