それでも、愛していいですか。
「でも、勘違いさせちゃうのって……罪だよ」
加菜のその言葉に、なにも言い返せなかった。
高校時代、ただ普通に接していただけなのに、「好きでもないのに優しくしないで」と告白してきた女の子に言われたことがあった。
その子は、孝太郎が自分に優しくしてくれるのは、きっと自分に気があるからだ。だから告白してもきっとOKしてもらえる。と思っていたらしい。
そんなこととは知らず交際を断ったものだから、そう言われてしまったのだ。
加菜の言うとおり、勘違いをさせていた。
……俺は普通にしているだけなのに。
孝太郎は黙々と前菜を食べていたが、ふと手を止めた。
ちょっと待て。
加菜ちゃんの言葉の真意はどういう意味なのだろう。
単なる俺への忠告なのだろうか。
それとも……。