それでも、愛していいですか。
ゼミが終わった奈緒と加菜は学食で昼食をとっていた。
「それだけで足りるの?」
奈緒は、加菜の小さなパン一つと野菜ジュースだけの昼食を見た。
「全然足りない」
その即答ぶりに、思わず吹き出してしまった。
「足りなかったら食べればいいのに」
「そういうわけにはいかないの」
加菜はきっぱりとした口調でそう言った。
「どうして?」
「まず一つ、ダイエット。二つ、かわいい服が欲しいから節約」
「節約はともかく、加菜はダイエットする必要なんてないよ」
「ううん。見えない部分はヤバイんだって」
「見えない部分?」
そう言うと、加菜の頬がみるみるうちに赤くなった。
なるほど。
つまり、孝太郎に少しでもスタイルよく見られたい、ということなのだろう。
うまくいっているようだ。
照れくさそうにしながらも幸せそうな彼女を見て、これでよかったのだ、と思った。
やはり友達には、笑顔でいてほしいから。
幸せでいてほしいから。