それでも、愛していいですか。


ゼミが終わった奈緒と加菜は学食で昼食をとっていた。

「それだけで足りるの?」

奈緒は、加菜の小さなパン一つと野菜ジュースだけの昼食を見た。

「全然足りない」

その即答ぶりに、思わず吹き出してしまった。

「足りなかったら食べればいいのに」

「そういうわけにはいかないの」

加菜はきっぱりとした口調でそう言った。

「どうして?」

「まず一つ、ダイエット。二つ、かわいい服が欲しいから節約」

「節約はともかく、加菜はダイエットする必要なんてないよ」

「ううん。見えない部分はヤバイんだって」

「見えない部分?」

そう言うと、加菜の頬がみるみるうちに赤くなった。

なるほど。

つまり、孝太郎に少しでもスタイルよく見られたい、ということなのだろう。

うまくいっているようだ。

照れくさそうにしながらも幸せそうな彼女を見て、これでよかったのだ、と思った。

やはり友達には、笑顔でいてほしいから。

幸せでいてほしいから。

< 169 / 303 >

この作品をシェア

pagetop