それでも、愛していいですか。
しとしとと絹糸のような雨が静かに振り続く。
肌寒かった。
時折横をすり抜けていく車が水たまりの水をはねていく。
しぶきが少し足にかかってしまい、ハイソックスが濡れてしまった。
うつむきながら歩いていると、いつもの公園にさしかかった。
公園の外灯が雨を照らしている。
ふと、視界の隅に気配を感じた。
そちらを向いてみると、いつも奈緒が座っているブランコに男性がうなだれて座っていた。
ブランコに収まらない大きな身体の男性は、傘もささず微動だにしない。
「あれ?」
奈緒は立ち止まった。
顔は窺えないが、おそらくそれは阿久津だった。
おそるおそる公園に入る。
一歩、また一歩と近づいてく。
そして阿久津だと確信すると、奈緒は駆け寄った。