それでも、愛していいですか。

「ん?」

雅哉は首を傾げ、そっと奈緒の顔をのぞきこんだ。

ふと我に返った奈緒は、とっさに、

「佐伯さんは、休みの日なにしてるんですか?」

と、切りかえした。

「僕?僕はね、映画見たり、本読んだり、ドライブしたり。まあ、これといって大したことはなにもしてないよ」

雅哉は自嘲気味に笑った。

「私も大したこと、なにもしてない」

「じゃ、おんなじだ」

二人は少し顔を寄せてくすりと笑った。

雅哉との会話は楽しかった。

穏やかで落ち着いた雰囲気が、奈緒を安心させた。

そして、いつの間にかほかの四人を置き去りにして、奈緒と雅哉は二人で話し込んでいた。



「今日は楽しかったね。また飲もうね、先輩」

店先で、美穂が高広の腕を軽く叩いた。

「そうだな。また集まろう」

「今日はごちそうさまでした!」

藍が高広たちに頭を下げたので、奈緒と美穂も慌てて頭を下げた。

「こんなかわいい学生さんとコンパできただけで、OKでーす!」

高広は、白い歯を見せ、にかっと笑った。

< 249 / 303 >

この作品をシェア

pagetop