それでも、愛していいですか。
「ん?」
雅哉は首を傾げ、そっと奈緒の顔をのぞきこんだ。
ふと我に返った奈緒は、とっさに、
「佐伯さんは、休みの日なにしてるんですか?」
と、切りかえした。
「僕?僕はね、映画見たり、本読んだり、ドライブしたり。まあ、これといって大したことはなにもしてないよ」
雅哉は自嘲気味に笑った。
「私も大したこと、なにもしてない」
「じゃ、おんなじだ」
二人は少し顔を寄せてくすりと笑った。
雅哉との会話は楽しかった。
穏やかで落ち着いた雰囲気が、奈緒を安心させた。
そして、いつの間にかほかの四人を置き去りにして、奈緒と雅哉は二人で話し込んでいた。
「今日は楽しかったね。また飲もうね、先輩」
店先で、美穂が高広の腕を軽く叩いた。
「そうだな。また集まろう」
「今日はごちそうさまでした!」
藍が高広たちに頭を下げたので、奈緒と美穂も慌てて頭を下げた。
「こんなかわいい学生さんとコンパできただけで、OKでーす!」
高広は、白い歯を見せ、にかっと笑った。